プロローグ

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 『なんで』も『どうして』もなかった。  私にとってはこれが日常で、これ以外の日常なんて、知らない。 「……っ、は………っ!!  はぁ……っ!! っ」  息を吸うだけでも焼けつく喉。  そこに鉄の味が混ざりはじめても、息を止めるわけにはいかない。 『かなこ、13秒後、3時・6時に1・1』  インカムで入る相方の声は、いつもどおり冷たくて。  それが、私の意識を、唯一現実世界につなぎ止めている。
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