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一瞬で恋に落ちた。
さっきまであーだこーだ語ったがそんなことどうでもいい。
何でもっと早く逢おうと思わなかったんだろう。
どうしたらあの人に近づけるのか。
それを考えなくては・・・。
「あの・・・すみません」
ビクッ!
僕は後ろから聞こえた声にびくついたが、考えてみればこんな透きとおった声聞いたこと無かった。
―――もしかして、・・・と期待してふり返る。
「えっと、その・・・少しでいいのでソコ、退いて、くださり・・・ます、か?」
人形が喋っているのかと思った。
「えっ・・・あの・・・。」
歯切れの悪い見っとも無い声を出してしまった。
しかし、仕様が無いと思う。
だって、あの七色の薔薇乙女、陳内マヒロ本人が話しかけて来たのだから。
執事は離れた所にいて、こちらを見ている。
ううん、僕が変なことしないか監視しているのだろう。
目が怖いよ、執事さん。
「あっ、駄目ですよね?ごめんなさい!!図々しい事言って・・・。」
そう言って彼女は、執事の元に駈けよる。
執事は彼女が振り向く前に、ニッコニコの笑顔に戻る。
「どうでしたか?退いてくださるって言ってくれましたか?」
「む、無理だよ斎藤(さいとう)さん!いきなり試練をあたえないで!!」
「う~ん、困りましたねぇ。これでは、入学式に出席できませんね。」
「そんなぁ、見捨てないで~!」
そんな感じの会話が微かに聞こえた。
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