第1章【for oneself ~独りで~】

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―――入学式当日 体育館前。 入学式開始時間よりかなり早く学校に着いてしまった僕は、体育館の前にあるベンチに座ってボーとしていた。 ・・・あ、そういや今日はあの子を見られるんだっけ? 中学時代から、風の噂で聞いたことはあった。 【七色の薔薇乙女(なないろのばらおとめ)】と言われる娘が姫美詩高等学校入学試験を受験するということで、 倍率は凄かった。 あ、七色の薔薇乙女っていっても分からないよね? 日本には特に美しい人に贈られる八つの称号がある。 黒薔薇の君・秋薔薇の君・蒼薔薇の君・緑薔薇の君・紫薔薇の君・黄薔薇の君・白薔薇の君の七つは男性に贈られ(まとめて七薔薇の君と言われている)、その七つをまとめる役が七色の薔薇乙女、女性に贈られる。七薔薇と七色の薔薇乙女を合わせて虹(にじ)薔薇(ばら)と呼ばれている。 虹薔薇になれる人間は限られていて、昔から代々虹薔薇を務めていた8つの名家で生まれた者しかなれないのだ。 その8つの名家とは、陳内家、雪梨家、一之瀬家、達華家、鎖伊達家、紫苑家、桜花家、鈴風家。 どこだったか・・・八大名家と言われている程金を持っているこの中で最近不況な家があった。 確か・・・鈴風? まぁ僕には関係ないけどね。
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