第6章

3/21
前へ
/21ページ
次へ
「どうしてそんなことを」 「彼は東南アジアの某国の要人なのです。訳あって、今はそれだけしか言えません。わたくし共は、彼とあなたが会っていたのを知っています。その上でのお願いです。わたくし共は彼の安全を保障するために動いているのです」 東南アジアの某国の要人。 そのことばは栞が今まで彼に対して感じていた不信感を、裏書した。 「では、あなた方が、直接警備をされたらいいのではないですか」 田中一郎と名乗る男は、ようやく笑みを浮かべた。 人を安心させるものとは程遠い、薄笑い。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加