1章 ノリで生きる丘バイの苦悩

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「大丈夫、実際手ぇ出してるわけじゃないんだし」 「出す出さないじゃない。勘違いさせて、痛い目見ないようにしろっつってんだ」 眉間にシワをよせて、カズがぶっきらぼうに言う。 どうしたんだ?俺がこのキャラ確立してから1年間、説教じみたことなんて言ったことなかったのに。 「なんで今さら?って顔に書いてあるぞ」 ……ご名答。 「お前のタラシっぷりが、こっちまで聞こえてくんだよ。ちょっとは自粛しろ」 「は?タラシっぷりって、何それ?俺、女の子に告られたりとか全然ないんですけどー」 こんなに頑張ってるのにな! 「女に関しては知らん。お前はバイってことになってんだろ?それ狙って男も食いついてくること、忘れんなよ」 「食いつくかなぁ?今までそんなことなかったんだけど……」 男に興味ある男なんて、そうそういないだろ。 「噂ではお前、ストレートの野郎までタラしこんでるらしいからな」 は?何それ初耳。 身に覚え、ありませんけど? 「それを天然て言うんだよ」 そっか……。気が付かなかった。 てか、いちいち頭の中読むなよ! 「ま、そういうことだ。俺は忠告したからな。ナオが楽しくて泣かなけりゃ、それでいい」 突き放すように、でも柔らかい口調でカズが言う。 「カズ……。やっぱお前は親友だな!」 感極まって飛びつく。 「スキンシップ過剰なのも人を選べよ……」 耳元でボソッと言われた。
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