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「大丈夫、実際手ぇ出してるわけじゃないんだし」
「出す出さないじゃない。勘違いさせて、痛い目見ないようにしろっつってんだ」
眉間にシワをよせて、カズがぶっきらぼうに言う。
どうしたんだ?俺がこのキャラ確立してから1年間、説教じみたことなんて言ったことなかったのに。
「なんで今さら?って顔に書いてあるぞ」
……ご名答。
「お前のタラシっぷりが、こっちまで聞こえてくんだよ。ちょっとは自粛しろ」
「は?タラシっぷりって、何それ?俺、女の子に告られたりとか全然ないんですけどー」
こんなに頑張ってるのにな!
「女に関しては知らん。お前はバイってことになってんだろ?それ狙って男も食いついてくること、忘れんなよ」
「食いつくかなぁ?今までそんなことなかったんだけど……」
男に興味ある男なんて、そうそういないだろ。
「噂ではお前、ストレートの野郎までタラしこんでるらしいからな」
は?何それ初耳。
身に覚え、ありませんけど?
「それを天然て言うんだよ」
そっか……。気が付かなかった。
てか、いちいち頭の中読むなよ!
「ま、そういうことだ。俺は忠告したからな。ナオが楽しくて泣かなけりゃ、それでいい」
突き放すように、でも柔らかい口調でカズが言う。
「カズ……。やっぱお前は親友だな!」
感極まって飛びつく。
「スキンシップ過剰なのも人を選べよ……」
耳元でボソッと言われた。
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