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「なぁっ三上!」
試合を終えた三上を、俺は軽く呼び止めていた。
「マジで凄いな、お前。経験者つってたけど、相当上手かったんだろ?」
「せ、先輩!見てたんですか?恥ずかしいなー。久しぶりであんまり調子良くなかったのに……」
「あれで調子良くなかったって、どんな屈辱よー?」
後ろで椎ノ木先輩が叫ぶ。
確かに、俺にも絶好調に見えたな……。
「バッチリ見てたぞ!超カッコよかった!ダブルハンドのバック、俺もマネしよっかなー」
興奮ぎみに言うと、なぜか三上が赤くなった。
「能美先輩っ!カッコよかったって……マジで?マジで思います?」
「うんうん、マジで!見とれちゃったー」
背の高い三上を見上げながらニカッと笑うと、三上は表情を崩した。
「お、俺、試合とかがんばります!」
「マジで頑張ってくれよー?もうすぐ新人戦あるからさ。今年は絶対上に行けそうだな。俺、超楽しみー」
浮かれて言う。
にぎやかなことが大好きな俺は、仲間が勝ち進んでいくのを応援するのも大好きだ。
「能美先輩が応援してくれるんだったら、俺、てっぺん取りますっ!」
心底嬉しそうに両手をギュッと握られ、そのままブンブン上下に振られた。
ホントかわいーやつ。
図体とプレイとのギャップが有りすぎだが、そこがまた心をくすぐる。
俺、ギャップ萌えってちょっと理解できたかも……。
「そういえばさ、なんで三上、部活入らなかったの?」
「部活ですか?一応見学には行ったんですけど……」
「?」
「なんか、大学来てまで部活一本なのもなーって」
三上はヘニャッと笑う。
「俺、こんなだから、あんまり勝負事とか好きじゃなくて。高校の時も、他のみんなみたいにイマイチ部活に夢中になれなくて」
「うん」
性格のことなら、なんとなくわかる気がした。
見た目に反して柔らかい性格は、勝負事には向かないのかもしれない。
「でも、今度は夢中になれそうですっ」
……なんで?
俺は顔いっぱいにハテナマークを貼り付けたまま、ふふふ……と笑う三上を見ていた。
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