1章 ノリで生きる丘バイの苦悩

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***** 場所は変わって、総科講義棟。 俺はいつものメンバーに、最近のあれこれを相談中。 「確かにアンタは、天然タラシだと思う」 真面目な顔でうなずくミク。 「俺、タラシてるかなぁ?こんなにモテないのに」 「うわ、無自覚だよ。無自覚天然タラシ受け!新しいわ!ごちそうさまです……」 綾子には、なんか拝まれた。 「モテないって言ってるけど、能美モテてるよ?……特に男に」 由香がニヤリと笑う。 「だね。私たちの腐った目でなくてもわかる魔性の男だよ、能美は……」 魔性とか……。 まぁ半分は計算してやってるキャラだけどさー。 納得いかない評価にうなだれた俺は、急に思い出して、ガバッと顔を上げた。 「そうそう、お前らに聞きたかったんだー」 あれを聞いておかなくちゃな! 「サークルの新入生なんだけどさ……」 「何!もうタラシこんだの?」 「タラシてないし。あのさ、そいつってめちゃくちゃ図体デカくてテニスが上手いんだよ。なのに性格が子犬みたいなんだわ。オマケに酔うと甘えたがりになるし……。こういうの、ギャップ萌えって言うんだろ?」 「……」 絶句する3人。 「酔わせてタラシこんだのね。確かにアンタの言うとおりなら、彼はギャップ萌えよ。でもそれより……」 無表情に言う綾子が怖い。 「どうやって甘えたのか、そこのところを詳しく!」 由香が叫んだ。 「詳しくっつってもなー。酔っぱらってるあいつに話しかけたら、なんかギュッてされて、頭スリつけられたぐらいだしなー」 「アンタはホントに……」 ミクがやれやれと首を振る。 「いつも萌えをありがとう!」 綾子と由香に抱きつかれた。 これってモテてはないよな?
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