1章 ノリで生きる丘バイの苦悩

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「能美先輩ー」 放課後の講義室で、3人娘とジャレていた俺を呼ぶ声がした。 「へ?三上?」 「先輩、いたー。探したんですよ。サークル行きましょ」 デカイ身体で、いそいそとやってくる。 「……イケメンじゃないの」 ミクが呟く。 「……大型ワンコ攻めね。マジで能美、グッジョブ」 綾子が俺をハグしたまま、頭を撫でる。 「ワンコくん、お迎えご苦労さまー」 由香に言われた三上が、キョトンとしてる。その様子も犬っぽい。 「ありがとな。でもわざわざ迎えに来なくても行くのに……」 「でも、先輩と一緒に行きたいしー」 キラキラした目で見下ろされる。 尻尾が見える……気がする。 「三上、わざわざ来なくてもいいぞ。コイツはいつも、俺が連れてってるからな」 突然割って入る藤木。居たんだ……。 藤木の登場に、綾子と由香が騒ぎ出す。 「リ、リアルBLっ」 「目の前で能美の取り合いとか、マジで萌えるわっ」 なんか聞こえる気がするんですけど……。 俺はいつものキャラを作るべく、女子どもにビシっと言ってやった。 「お前らなー。俺のタイプは俺様だっつったろ。ガタイがいいだけじゃダメなの!」 「せ、先輩?タイプって……」 三上が固まる。 やれやれ顔の藤木。 「アンタの好みはとりあえず置いといて、萌えるシチュには間違いない。黙って掘られとけ、能美」 はぁぁー? 美人顔でさらっと問題発言かます綾子。 「掘る?」 三上はキョトン顔だ。 「……能美を?」 なぜか赤い顔の藤木。 「俺はタイプ以外の野郎とヤるつもりはねぇっ!それより柔らかい女の子に突っ込む方がいいっ!」 叫ぶと、3人娘が爆笑した。 「その顔で下ネタとか、アンタも大概ギャップ萌えだわ」
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