1章 ノリで生きる丘バイの苦悩

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***** 結局その後、三上と藤木に両側から拘束されるようにサークル棟に連行された。 大体、サークル行きたくないなんて一言も言ってませんが。 迎えに来なくても、連れて行かれなくても、勝手に一人で行くっつの! ブツブツ思いながら、バンッとロッカーを開けた。 そのまま、ジーンズのボタンを外してジッパーを下ろし、着ていたシャツに手をかける。 順番がおかしいかもしれないが、まず下衣を緩めるのは子供のころからの癖だ。 ハッと気づいて、横目で見ると、藤木と目が合った。 ……前に言われたんだったな。ちょっとは男の目を意識しろって。 クルリと背中を向ける。 と、今度は少し離れたロッカー前で着替え中の三上とご対面。みるみる赤くなる三上。 いったい俺にどうしろと……? 「……とりあえず早く着替えろ」 半脱ぎでガックリしていると、後ろから藤木に叩かれた。 なんとか着替えて、コートに出る。 後ろから着いてくる三上が、鼻にティッシュを詰めてるのは、全力でスルーだ。 「集合ー」 椎ノ木先輩の声に、ワラワラと部員が集まる。 サークルなので、基本全員揃うことはない。 今日は男子だけで15人か。 主力メンバーは大体来るから、特に困ることはない。 「突然だけどぉ、今日は練習試合組んだから」 太陽を受ける金髪も眩しく、椎ノ木先輩が告げた。 「新人戦や対抗戦も近いからなぁ。力試しってとこー?」 「相手はどこですか?」 試合となれば、必ずメンバーに選ばれる藤木が聞く。 「西大寺(さいだいじ)だ」 わりと近くの大学で、よく練習試合をしてるけれど、サークルの規模はでかい。 「なんかすげぇ新人入ったんだってさ。三上とやらせてみたくてなぁ」 椎ノ木先輩が、三上を見ながら言う。 鼻に詰められたティッシュには、触れもしない。 「お、俺?」 キョドる三上。 「そー。んじゃメンバー発表すっぞー。シングルス1はー……」 練習試合ってことで、シングルス3本、ダブルス2本のメンバーが告げられた。 藤木はダブルス1、三上は様子見でシングルス3だが、これは先方と相談で、向こうも3に新入生を当ててくるとのことだった。
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