578人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
結局その後、三上と藤木に両側から拘束されるようにサークル棟に連行された。
大体、サークル行きたくないなんて一言も言ってませんが。
迎えに来なくても、連れて行かれなくても、勝手に一人で行くっつの!
ブツブツ思いながら、バンッとロッカーを開けた。
そのまま、ジーンズのボタンを外してジッパーを下ろし、着ていたシャツに手をかける。
順番がおかしいかもしれないが、まず下衣を緩めるのは子供のころからの癖だ。
ハッと気づいて、横目で見ると、藤木と目が合った。
……前に言われたんだったな。ちょっとは男の目を意識しろって。
クルリと背中を向ける。
と、今度は少し離れたロッカー前で着替え中の三上とご対面。みるみる赤くなる三上。
いったい俺にどうしろと……?
「……とりあえず早く着替えろ」
半脱ぎでガックリしていると、後ろから藤木に叩かれた。
なんとか着替えて、コートに出る。
後ろから着いてくる三上が、鼻にティッシュを詰めてるのは、全力でスルーだ。
「集合ー」
椎ノ木先輩の声に、ワラワラと部員が集まる。
サークルなので、基本全員揃うことはない。
今日は男子だけで15人か。 主力メンバーは大体来るから、特に困ることはない。
「突然だけどぉ、今日は練習試合組んだから」
太陽を受ける金髪も眩しく、椎ノ木先輩が告げた。
「新人戦や対抗戦も近いからなぁ。力試しってとこー?」
「相手はどこですか?」
試合となれば、必ずメンバーに選ばれる藤木が聞く。
「西大寺だ」
わりと近くの大学で、よく練習試合をしてるけれど、サークルの規模はでかい。
「なんかすげぇ新人入ったんだってさ。三上とやらせてみたくてなぁ」
椎ノ木先輩が、三上を見ながら言う。
鼻に詰められたティッシュには、触れもしない。
「お、俺?」
キョドる三上。
「そー。んじゃメンバー発表すっぞー。シングルス1はー……」
練習試合ってことで、シングルス3本、ダブルス2本のメンバーが告げられた。
藤木はダブルス1、三上は様子見でシングルス3だが、これは先方と相談で、向こうも3に新入生を当ててくるとのことだった。
最初のコメントを投稿しよう!