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「やだぁー能美ってばー」
「やば、能美、超可愛くね?」
キャハハと笑う、女子に囲まれ、至福な俺。
髪の毛いじられてます。
鏡を見せられると、ピョコンとくくられた茶色い前髪にイチゴの飾り付きゴム。
可愛いじゃん、俺。
能美直生、ハタチ。
北城大学総合科学部2年。
テニスサークル『ブレイクショット』所属。
目下、チャラチャラと大学生活を謳歌してます!
持ち前の可愛いルックスを利用して、女の子に囲まれ、弄られる毎日。
モテとはちょっと違う気もするが、楽しいからいいんだ!
せっかくの大学生活、楽しまなきゃ損でしょ?
ノリで生きてます、俺。
「能美ってさぁ、なんでそんな可愛いわけ?妬けるわぁ…」
同じ学部のミクが、髪を指に巻き付けながら言う。
「え?生まれつき?ごめぇーん」
ちょっと小首をかしげながらブって言う。
この角度は計算だ。俺、可愛く見えるはずっていう。
「あーっ!今のも絶対狙ってるって分かってんのにぃ……」
バレてた?ま、いっか。
「俺、小悪魔だからね」
流し目してみた。
「いやーっ!マジでそういうのは、あたしらじゃなく男子にやって!イケメンなら尚良し!」
絶叫する綾子は腐女子を公言している。
サラサラロングな黒髪の超美人なのに、リアルにはあんまり興味ないらしい。
「ほんと、能美ならリアルBLイケるって!イケメン×誘い受!最高。どっかで引っ掛けてきなよ」
由香は綾子の腐女子仲間だ。
こいつも見た目は普通に可愛い部類なので、騙される。
最近は、腐女子って多いんだな……。高校は男子校だったから、知らなかった。大学入ってビックリした。
俺のルックスが一部の女子にバカ受けすることに、最初は戸惑ったけれど、そこはノリの良い俺。利用しない手はない。
元々可愛い系と言われる顔立ちを生かし、髪は茶色く染め、緩くパーマをかけた。服装も香水も中性的な感じに仕上げ、オネェでもイケる風貌になった。
……が、しかし。
ガチでオネェだと思われると、せっかく囲まれても女の子とニャンニャンする希望が失われてしまう。
そこで、俺が自分で作ったキャラは……。
「……イケメンもいいけど、オッパイも捨てがたいなっ。誰か揉ませろっ」
「やだー、能美っ」
女の子たちが俺をどつく。
……そう、俺は『バイでちょっとエッチな能美くん』を確立させたのだ。
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