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練習試合のあとは、両大学揃っての打ち上げと決まっている。
今回はうちがホームだったので、いつもの『はちべえ』を予約した。予約60人とか、久しぶりだ。
久しぶりのでかい飲み会に、ワクワクする。
というのも、試合のなかった女子部員も合流すると聞いたから。他校の女子と交流するまたとない機会!
「今日は飲むぞ!盛り上がるぞ!」
乾杯の後、立ち上がってジョッキを片手に宣言した。
「いつもだろ……」
下から藤木のため息が聞こえたが、華麗にスルー。
練習試合、夜の部のスタートだ。
夜の部の俺は、自他共に認めるサークルナンバーワン。
今夜もノリノリです。
「かんぱーい!」
ギャルたちのグラスに、ジョッキをぶつける。
西大寺のテニスサークルは、女子のレベルが高い。
俺はホクホクとその輪に混じったけれど、中心にはあの王子がいた。
いけすかねーが、この際仕方ない。一緒に飲むくらいなら大丈夫だろう。
「ねーねー、キミ能美くんだったよね?」
「覚えてくれてた?うれしーな」
「忘れないってぇ、キミみたいなキャラー、周りにいないもん」
「ありがと、それって誉めてくれてるぅ?」
「さぁねー。言葉どおりかなっ」
可愛い女子と肩をつつきあいつつ、会話を楽しむ。
あぁ……心が潤う。
至近距離に、あの王子もいるが、別の女子と話していて絡みはない。
ていうか、今は男なんてどうでもいい。
「能美くんてさ……」
突然、彼女の声のトーンが変わった。
「……バイなんだって?」
それ、他大学にまで流れてんのか?
それとも、俺酔っ払って自分で吹いて回ったか?
でも、まぁ……否定はしないでおくか……。
「うん。そうだよ」
ニッコリ笑って言う。
「そうなんだー。私、偏見とかないから安心して。てか、似合うねー」
「似合うって……」
彼女の言葉に苦笑しながら顔を上げると、肩越しに王子と目が合った。
一瞬視線が絡まり、王子がクスッと笑った。
今度は、昼間に見たような小馬鹿にした笑い方じゃなかった。
聞かれた……?
ま、いいか。 自分で設定したキャラだしな。
言い聞かせて、ビールを煽った。
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