1章 ノリで生きる丘バイの苦悩

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今日も飲みすぎた……。 西大寺の女の子集団には、可愛いとかいじられて飲まされ、うちの先輩たちには、夜の部シングルス1だとか乗せられて飲まされ……。 頭グルグル回る……。 トイレ行こ……。 おぼつかない足元で、トイレに向かう。 慣れた店だと、酔った頭でもトイレの場所が把握できてて助かる。 用を済ませ、フラフラと扉を開けると、あの王子と鉢合わせた。 「能美……、さん?」 「俺の名前知ってんの?」 「さっき聞こえてたので……。酔っちゃいました?」 「かなり飲んだからなー。うわ、回るっ」 「……っと、危ないな」 足にきてよろけた俺を、王子が支えた。 至近距離に、王子スマイル。 酔っ払いの心臓に悪い。 「……能美さん、バイって本当ですか?」 「な……に……?」 耳元で囁く王子に、言葉が出ない。 「本当ならうれしいな。俺もなんです」 俺も、……なんだって? 回らない頭で考える。 は?王子が……バイってこと? 「そう。俺も同族」
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