二、初めての学生生活と異空間。そして出会い

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二、初めての学生生活と異空間。そして出会い  ラスベガスの一件から約二週間が過ぎた。現在、伯父が理事長をやっている酒々井マリア学園の編入生として職員室に来ていた。二週間何をしていたかというと、伯父の手伝いという名の雑用と事務の仕事をしながら、売る覚えだった日本語の復習等のイベント事が一気に押し寄せ暇ではない二週間を過ごした。  余談だが、カルロスは酒々井マリア学園の校長をやっているらしい。ロシアから無事に日本まで辿り着けるかという監視とサポートらしい。しかも、それが試験だったらしく無事に日本までたどり着けた私は知らぬ間に試験に合格した。ある意味抜き打ち小テストより性質が悪いが偏差値七十は余裕で超える難関校を一般で入るよりはずっと難しかったと思う。それから、ジョンはスパイという職から酒々井マリア学園の平職員に転職した。元々、教育免許を取得済みだったため、すんなり先生になったジョンは数学教師になった。そして―― 「では、白木さん。貴女は一年A組ですね。行きましょうか」 「そーですねー。ジョン先生」  ジョンが担任になっていた。ここ数日間私と接する態度が変わったと感じていた理由が分かった。前までは優しい感じだったが、ここ数日は優しいにプラスまるで我が子にでも接しているような慈愛が混じって来た気がする。今もまさにそれで彼の周りにさまざまな花が舞っているフィルタリングが掛かっている。  ――何か、前よりジョンの事が分からなくなった気がする。  そう、内心思っていると目的の教室に着いたらしくジョンが手招きをしていた。 「此処です。中で編入生が来た事を知らせますので呼ばれたら中へ入ってください」 「はーい」  ジョンは一つ柔らかな笑みを零し、教室の中へ入って行く。目の前で閉ざされた扉の前に立つと中の音が漏れて聞こえてくる。それは大半驚きと喜び。声らしい声は聞こえなかったがそれだけの情報さえあれば歓迎されているか、されていないか分かるだろう。
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