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「お喋りは終わり?それじゃあ……くたばれゴラァ~!!」
急にキャラ崩壊したかのように口調が変わったが、そんな事にいちいち突っ込む余裕なんてものはない
少女が飛ばしてきた電撃、雷撃の槍とでも言えるそれが、路地の壁ギリギリを通り隙間を埋め尽くす
徐々に迫ってくるそれをしっかり観察し、そこにあった小さな隙間を発見する。徹は地面に俯せになって小さな隙間を潜り抜け、電撃に掠ることなく躱した
(能力使わなくても避けれるのは助かったが……食らったらどうなってたか)
「なっ!」
少女は初見で攻撃を躱された事に驚いた…わけではなく、予想と違う避けかたに驚いていた。地面にわずかに隙間があったのは電撃が地面を通して遠くにいかないようにする為だったのだが、普通はそんな危険な所を通るなんて考えない。ましてや能力者ならさっきのように跳んで躱すのが当然だと思ったのだ
だがそんな考えをしている内に、少年の躱した電撃がそのまま後ろにいる不良達に迫っていく
(悪いが…いや、悪いとも思ってないが身代わりにさせてもらうぞ)
後ろの電撃の向こう側の不良達に心の中で言う。電撃は無慈悲に進んでいく
何処までも
何処までも
…………
「いや待て…」
電撃が一定の距離を進むと、人の体が4体も俯せの状態で現れる。どうやら徹と同じように躱したようだ
「お前らも避けんのかよ!!」
そう突っ込んだ瞬間、最悪なイメージが頭を過ぎった。残りの不良は1人は気絶して仰向けに倒れ、もう1人は地面に首の辺りまで沈めたので電撃は当たらない
ならその電撃はどうなる?途中で霧散するなんて都合の良い事は起きない。つまり路地を抜けた広間に電撃は通っていく
そしてその広間の中で一番、路地に近い場所にいる可能性があるのは…
「伏せろぉぉおおお!!!」
徹はすぐに力の限り叫んだ。追いかけても間に合わない。一度放ったものを少女に止めれるかどうかは怪しい
ならば注意を促すしかない
自分の半端な力を嘆くより最悪の展開を、それに対して今の自分に出来る事を瞬時に思いつく。それが椎名徹の数少ない取り柄だった
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