面倒の多い街

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「はぁ…はぁ……じゃ、風紀委員(ジャッジメント)…です……」 突然、花飾りを頭に付けた見た目小学生ぐらいの少女が荒い息を吐きながらやってくる。マラソンでもしていたのかと質問しようと思ったが、そんなのは後回しで良いだろう 「えっと、あの路地の向こうに「それより流ちゃんの手当てを!」乾ちゃん…」 よほど心配されていたのだろう、目の前に女子がいるのにも関わらず、乾の表情はさっきと同じ複雑な感じ、だが確実に自分を心配しているものだった 「初春、周囲の方達には被害はないようで……ってそちらの方々は?」 「白井さん。それが…」 花飾りの少女こと初春に、白井と呼ばれるツインテールの少女が何の前触れもなく、突然現れ話しかけてきた。今のは空間移動(テレポート)だろうか 初春は白井に状況を説明する。まだ言っていない筈の両手の怪我の事まで説明していたが、乾が手当てと言った時にでも見ていたのだろうか 説明を終えると、白井は初春に指示をだす 「初春、あなたは衝波さんから包帯を貰って、ここでその方の手当てを」 「白井さんはどうするんですか?」 「わたくしは現場に。おそらく既に終わっているとは思いますが」 「あっ、待って……ください」 現在、唯一の被害者と言える流は何かを思い出したかのように白井達を引き止める。明らかに自分より年下に見えるが、助けてもらうのにタメ口はどうかと思い途中で言い直した 「どうしました?もしかして怪我が痛みますか?」 「確かに痛いです……ってそうじゃなくて!…ですね、実はここに来た時にツンツンした頭の男の人に助けてもらって…わたし達の代わりに不良の人達に追いかけられちゃって……とにかく、その人の事も助けてもらえませんか!」 流は頭を深く下げる 偶々通りかかった程度の他人に対してここまで気にかけてもらえるのは、実はいつも不幸だと嘆いている、実際不幸続きの当の本人にとっては幸せな事なのかもしれない
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