面倒の多い街

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それを聞いた白井は徐に携帯を取り出し、通話をかける 「衝波さん、至急こちらに来てくださいな。あと、常備している包帯は残ってますの?……ええ、わかりましたわ。詳細はこちらにいる初春に聞いてください。では」 白井は通話を切り、携帯を元の場所に戻すと、こちらの方に向き直る 「今から援軍が来ますので少々お待ちを。初春、後は頼みましたわよ」 「はい。白井さんも気をつけて」 それだけ言うと、白井の姿は何の動作もなしに消えさった 「凄いな~、あれが空間移動(テレポート)ってやつなんだね、乾ちゃん」 白井の動向を見送った流は乾の方に視線を向ける 「あれ、連絡してたの?」 「もう終わったさよ」 妙に静かだったが、携帯を閉じている姿を見てそう察していた。連絡相手は兄だろう (……お兄ちゃん、これを見たらなんて言うかなぁ…) 自分の手に視線を向ける。火傷して2、3分程経ったが、まだ燃えるように熱い。学園都市の医療がどれだけ優れているかはわからないが、今日明日で治るようなものではないだろう 「流ちゃん、たぶん徹は…」 「えっ?」 その時、彼はなんて言おうとしたのだろうか。その先の言葉は中性的な声によってかき消される 「待たせたね。初春ちゃん」 黒色の長い髪の人物が、明るい調子の声と大きな存在感を持って現れた
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