面倒の多い街

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**** 風紀委員の支部から出た徹は乾に電話をかける。どこかの変態のせいで随分と時間が経ってしまった。心配はしてるだろう 電話に出る音がする 『徹?随分と遅かったさね』 「ああ、膝に変態を受けてしまってな……」 『意味がわからないさ……』 「……」 風紀委員の支部に向かう前もそうだったが、友人の元気がない気がした。敢えてボケてみたのも、それを確かめる為にやっただけだ 『……徹』 「なんだ?」 『流ちゃん、オレの知らないところで変わっちゃったのさ?』 「………」 徹は再び沈黙する。友人の知る流は人懐っこく、元気で明るくて、それでいて誰かが悲しむのを嫌う。そんな少女だ だから自分が怪我をしても平気だとやせ我慢をする (…いや、そうじゃないな) それだけなら特に変わったとは言えない。乾が言いたいのはそこじゃないだろう 乾が送ってきたメールの内容をよく思いだす 友人が変わったと言ってるのは、椎名流と言う少女の事を完全にはわかっていないのが原因だろう。兄にはわかっていた。必ずそんな行動に出る事には 「危険な行動を当たり前のようにする事か?」 『…そうさ。流ちゃんはあんな行動する子じゃなかった筈さよ!何があったんさ!』 乾の声には怒りのような、焦りのような、よくわからない感情がこもっているように感じる。友人にとっても妹は大切な存在なのだろう。だから責任を問うように聞いてくる 「…本当にそう思っているのか?」 『…どういう事さ?』 「そんな行動に出るのはあいつの性格を考えればわかる事だろ」 『でも昔はそんな事──』 「それはそんな行動を俺が代わりに全部やっていたからだ。俺がいなければあいつはやる」 『だけど……』 「乾、お前一体どうしたんだ?俺からすればお前の方がおかしいぞ」 そう言うと友人は黙ってしまった。聞かれたくない事を聞いてしまったような、そんな反応に思える 「…いや、無粋な質問だったな。悪い、忘れてくれ」 これ以上は聞くべきではないだろうと判断し、すぐに話を中断した 『徹…』 「…?」 『徹は……』 「よく聞こえないんだが…」 『…やっぱり何でもないさ!徹、明日から学校さよ。自己紹介に失敗したら恥ずかしいからきちんと練習しとくさ!それじゃ!』 それだけ言うと、乾は通話を切った。徹も通話を切り、携帯をポケットになおす 「何なんだ…一体」
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