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「本当に可愛い子がいたんさ~。黒髪の可愛い子が~…」
乾は徹達の後ろをついていきながら、何か必死に訴えていた
「流、無視しとけ。ああいうのとは目を合わせたら駄目だ」
「それ聞こえてるさ~っ!!」
流石にうるさく感じた為、徹は後ろを振り向いて鬱陶しそうな顔で乾を見る
「あっ、お兄ちゃん目を合わせちゃったね」
「それはもう良いから…それでどうしたいんだお前?いい加減にしないとぶん殴るぞ」
「すまんさ……ん?」
「謝ってすぐに別の事に目が行く辺り、反省はしてなさそうだな」
「違うさ!徹、あれ見るさ!」
乾が必死に訴え、指を差した為、何か重要な事だろうとその先を見てみると、路地裏に不良が数人入り込む姿が見えた
「…不良がいるだけだな」
「いるだけだね」
「言い訳の為にこんな事までするとは……乾、お前も随分と堕ちたな」
「違うさ!その前に茶髪の女の子が先に路地裏に入っていってたのさ!」
「…警備員や風紀委員は?」
流と乾は周囲を見回すが、いる気配はしない
「はぁ…乾、不良の数は何人いた?」
ため息を吐きながら質問をする
「たしか5、6人いたさ」
「少女1人に5、6人ねぇ……不良というのは随分と自信がない奴らなんだな全く」
「どうするの?お兄ちゃん」
徹は少し考える素振りを見せると、数秒後に前を見て言う
「…面倒だが俺が行く。お前達は風紀委員でも呼んで待っててくれ」
「1人で大丈夫なのさ?」
「俺を誰だと思ってんだよ。能力なしでも一対多の相手はしてただろうが」
「いや、小学生の時の喧嘩の事を出されても……」
「同じもんだろ。とりあえず、早く行った方が良いな。お前ら、頼んだぞ」
徹の姿が路地裏へと消えさる
「なんか楽観的だなぁ…まあ、それがお兄ちゃんらしいと言えばらしいけど」
「とりあえず、風紀委員に連絡するさ」
「誰に連絡するって?」
「「!?」」
突然かけられた声にハッと後ろを振り向く2人
そこには身体の大きな不良が立っていた
「全く、中々の上玉を見つけたとか言ってたから来てみりゃ…見られてんじゃねぇっつの」
乾よりも一回りも二回りも大きな不良はコキッと骨を鳴らす
「さて、覚悟は出来てんだろうな?」
(や、やられる!?)
乾が諦めかけた時
「よってたかって健全な少年少女を痛めつけようなんて、大の男がやることじゃねーんじゃねーのか?」
後ろから男の声がした
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