面倒の多い街

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声をかけてきた男が流達の前に躍り出る 制服の下に赤シャツを着ており、黒色のツンツンした髪型以外には特にこれといった特徴はない普通の少年だった 「あぁ?んだテメェは?」 不良は少年に睨みをきかせる 流達も少年に大して不思議な物を見る目で見ていた 見たところ、風紀委員という訳でもなさそうだったからだ 「…と言うかいきなり出てきたけど大丈夫かなこの人?勝てるか怪しいけど…」 「流ちゃん…それは心の中だけにしまった方が良いさ」 「いや、お前も思ってただろ。つーか助けに来た奴に第一声がそれって酷くねぇか!?」 少年は流達の方へと振り返ってツッコミを入れる だが、そのツッコミが災いしたのか 「おう、どうした?」 「何だぁ?」 「どこのガキだこいつら?」 次々と不良が集まってきた その数、ざっと6、7人 「おう、このガキが何かおれらに喧嘩売って来てよぉ」 「ハハ……どうせ、こんな事になるだろうと思ってましたよ…」 少年の声は随分と重苦しい感じになり、やがて意を決したかのような顔になり 「不幸だあぁぁぁああ~っ!!!!」 全力疾走でその場を去った 流石の不良達もいきなり逃げ出す少年の行動に呆気に取られ、行動を移すのに数秒を要した 「逃げた!!?」 「自分から出てきておいて!!?」 「や、ヤロウ共!追うぞ!」 不良達はおう、と頷き全員その少年を追って流達から離れていく その様子を見ていた流達は口を開けたままポカンとしていた 「え~っと……」 「と、とりあえず今度こそ風紀委員に連絡するさ!」 「あ…うん、そうだね。さっきの人も助けてもらいたいしね」 乾は携帯を取り出し、風紀委員へと連絡をかける 流は不良に追われている少年を気にかけながら、路地裏の方を見る 「…お兄ちゃん、大丈夫かな?いつもよりちょっと時間かかっている気がするけど…」 戻りの遅い兄を心配しながら、流はその場に立ち尽くす 徹が戻って来るまで──
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