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「おい、テメェら!」
足が埋まって動けない不良は大きな声で他の不良達を呼ぶ
だがしかし、不良達はこちらに気づいていないのか、少女に詰め寄っている状態から動く気配がない
「なに無視してんだよっ!!早くコイツを──」
「無駄だ。足が埋まった時の叫び声が聞こえてなかった時点で気づくべきだったな」
徹はくるりと振り返り、他の不良達に聞こえないぐらいの声で説明する
「……と言っても今は俺もお前がなにを言ってんのかまでは聞きとれないがな」
そして、少女の元へと向かう
動けない不良は呆然と立ち尽くすだけだった
(さて、残りはどうするか…鼻歌作戦は通用しなさそうだし)
「オイ、風紀委員の奴らはまだ来て……」
だが、作戦を考えている間に少女の近くにいた不良の1人が周囲の様子を知る為に見張りの不良に声をかけたのだが、足が埋まっている仲間を見てヤバいと思ったのか、咥えていた煙草をポロリと落とした
「オイ!お前ら!!」
「チッ…!」
不良達は全員、徹の方を見る
警戒しているのか、距離を縮めようとはしない
だが、徹にとってはあまり良い状況とは言えなかった
(不味いな…下手に動けば人質とか取りかねんし、逃げれば向こうにいる流達を巻き込んじまう……かといって下手な倒し方すると復讐とか言って更に大人数で襲ってきそうだし……)
うーん…と頭を捻るがやがて意を決した顔をする
「面倒だ…まとめてかかって来い」
不良達を挑発するように、手をクイクイっと動かしながら、不良達の意識から外れている少女に逃げるように目線を送った
だが少女は動かない。アイコンタクトは通じていないようだ
不良達は各々得物を取り出し、5人全員でこちらに向かってくる
「何の能力か知らねぇが、この人数に勝てると思うなよ!!」
「ボコボコにしてやんぜ!」
「ヒャッハー!汚物は消毒だ~!!」
全員で徹の周囲を囲む。円形に囲まれ隙間はあるが、後ろを取られている
下手に動く事は出来ない
(……ん?今、変なの混ざってなかったか?)
不良の言葉に違和感を感じるも、相手の警戒は怠らない
「行くぞお前ら!」
一人の不良の言葉に他の不良達は「応ッ!」と同時に返事をする
この不良達を見ると、何か熱い展開とか巻き起こるんじゃ?とか、正直、改心すれば良い奴らになりそうじゃないか?とか徹は思った
だが不良達はそんな徹の考えは知らず、彼に一斉に襲いかかる
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