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「やっと。」
二人の目の前には大きな湖があった。
この向こう岸は、国境。
「ほんとに、ほんとに、あともう少し」
思わず涙ぐむ。
ジュノはそんなゆきの肩を抱き寄せ、顔を覗き込む。
「デモ、まだまだ、ユダンタイテキです。」
「ふふ。なんでそんな日本語知ってるの。うん!そうだね!がんばろう!」
ふたりでハイタッチをした。
「これプレゼント。」
「えっ。」
ジュノはゆきの後ろに回り込み、長い髪を束ねる。
ゴム?で止めたようだ。
「え。ありがと。でも、なんで?」
触ると何か飾りが着いているゴムのようだ。
「ゆき、髪ボサボサ!キタナイカラー!」
ムッとして、ゆきはジュノの腕をグーで殴る。
「仕方ないでしょー!むしろこんなとこで、身だしなみ整えてたら変でしょー!!」
「だははー!ソレに、ゆき、クサイ!!」
今度こそゆきは顔を真っ赤にした。
「え。くさい?」
腕や手の匂いをかぐ。
ジュノはますます笑う。
「うそ!」
ジュノはゆきの頭をポンポン叩き歩き出す。
「えー。絶対にうそじゃない、そりゃ臭いよー!ずっとお風呂入ってないもん。」
臭いとずっと思われてたなんてショックすぎる恥ずかしすぎる。。
こんな状況でも乙女だもーん!
落ちこむゆき。
ジュノはふと立ち止まり、
振り返る。
ゆきは離れる。
臭ってるかも。
ジュノは手を伸ばし、ゆきの腕をつかみ引き寄せた。
「あ。ちょっと。やめ,」
そのまま、ジュノはゆきのほっぺにキスをした。
「!!」
「クサクナイヨ。」
そういって、もう一度ほっぺにキスをした。
にこ~っと笑ってまた歩き出す。
ゆきはますます真っ赤になってしまった。
も、もうだったら臭いなんて言わないでよ。
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