第1章

14/20
前へ
/20ページ
次へ
ゆきは目を覚ました。 白いシーツ、白い布団、白い空間。 ここは病院。 個室でゆきひとり。 そうだ。ジュノさんがよくがんばりましたって。 助かったんだ。 起き上がろうとしたが、肩に痛みを感じできなかった。 目線だけ動かすと、点滴がある。そこに記された文字は外国語。 まだ日本ではないのか。 ジュノさんはいるのかな。 もう一度ゆっくり体を起こす。 ドアが開いた。 ジュノだった。 「ジュノさん!」 ジュノは近づいてきて乱暴にゆきを抱きしめた。 「~~~~!!!!!」 外国語で怒鳴る。 でも、何だか伝わる。 「ごめんなさい。ジュノさん。」 ようやく体を離したジュノはベッドに座る。 「イキテタカラユルシマス!」 ジュノはゆきの手を握る。 「ジュノさん、守ってくれてありがとう。」 ジュノさんはにこぉ~と笑う。 大きな口を満足そうに。 「ゆきは、ナゼアノトキ、モドッテキマシタカ?」 「あのとき?」 ジュノがゆきの肩の傷を指差す。 あぁ。ジュノさんをかばった時。 「ジュノさんが死ぬのが嫌だったから。」 「ドウシテ?」 ジュノがくいっと顔を近づける。 「え。」 答えにつまっていると、医者が入ってきた。 外国語だったので、ジュノがずっと役してくれた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加