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しばらく歩いて、ボッカリと開けた洞窟のような所に入る。
私たちはそこで腰をおろした。
ジュノは迷彩服のポケットから紙を取り出した。
広げるとそれは地図だった。
「ワカリマスカ?」
ゆきは地図を覗き込む。
地名は外国語、そして英語でも書いてあって理解ができる。
そうか、こんな所に連れて来られてたんだ。
「わかる。」
「ぼくは、ココで、ケイビしてた。」
指を差すそこは
「国境」
「コッキョウ」
ジュノは言葉を繰り返す。
勉強してるみたい。ゆきの心は少し明るくなる。
「コッキョウでケイビをしてました。テキがあらわれました。」
「バンバンバン。」
親指と人差し指をたてて、打つ真似をする。
「襲撃。。」
「シュウゲキされました。そして、ぼくヒトリ。。。。」
「わかった!襲撃されて、ひとりはぐれたのね!」
「ゆきちゃん、しーっ!」
ジュノは人差し指を口にあてる。
あ。つい。
「ごめんなさい。そうか。ひとりはぐれたということは、今、探されてるわよね?」
「ミンナガぼくのこと、キライジャナケレバ」
ククク、ジュノは笑う。
能天気に笑うジュノ。
もちろん不安で一杯だとは思う。
その中で笑ってくれる。
ジュノの強さがありがたかった。
「デモ、ボクタチモ国にムカワナイト。」
「えぇ」
「コレモテル。」
取り出したのはコンパス。
「ボクラガイルノハここ。」
地図の上を叩く。国境となる湖より少し上。
「ボクタチハ南をめざす。ツマリアッチ。」
コンパスを確認して指を差す。
「少しヤスミマショウ。」
「私はまだ大丈夫。早く動いた方がいいんじゃない?」
ゆきは言う。
「ソウデスネ。なので、あと1時間ヤスンデイキマショウ。せっかく夜でミツカラナイデ国境むかえる。」
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