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ジュノは、ずっと笑顔でいてくれた。
ふたりで南に向かって歩きながら、無言だけど、時々振り返る。
その笑顔はゆきに「大丈夫だよ」と語りかけてくれる。
ゆきはただ申し訳なかった。
ジュノだっていくら軍人だっていっても不安だろうに、
それを押し隠して。
いいのに。
ゆきも何か役に立ちたくて木の実や果実があると取って、ジュノに渡した。
人の歩く速度の遅さにびっくりする。地図では近かったのに、全然たどり着かない。
気持ちは焦るけど、どうにもならない。
「モウスコシデスカラ。」
にこやかに言うジュノ。
「うん。」
ゆきは気まずく笑う。
その時、発砲音が鳴り響いた。
近い!
ジュノとゆきは目を見合わす。
隠れる所がない。
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