第1章

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ガサガサ。 足音。しかも数名。 近づいてくる。 ジュノの表情が険しく歪む。 手を掴まれ、ゆき達は走り出す。 でも、走る音は逆に相手に場所を知らせてしまう。 どうしよう。 やっぱりもう生きて帰られないの。 少し行ったところで、ジュノが立ち止まり、ゆきを突き飛ばす。 「え。」 木の根の溝にすっぽりおさまる。 覆いかぶさるようにジュノも身を潜める。 しかし、少し体が出てしまう。 ゆきはもっと奥へ身を沈めるが、ジュノの背中が見える。 他の場所を探そうとまわりを見渡す。 ガサっ! 今までよりももっと近くに足音がした。 このままじゃ、ジュノさんが! ゆきは根から離れようとしたが、ジュノと強い力で戻される。 目が合う。 ジュノは、 笑った、 やさしく、
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