第1章

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確かにそれなら万事解決なのだが、 「2色以上はね…、ちょっと無理かな」 「おお、言われてみればそうじゃった」 そう、2色以上の羽根を使用するのは不可能なのだ。羽根の効力があるのは1色の時だけで、2色以上使用するとお互いの効能が邪魔しあって上手くご利益が現れなくなってしまうので、着物には基本的には1色しか使用しない。 だからこそ、羽之は悩んでいたのであった。 「羽根を縫い付ける、あとそれだけなのに…。ああもう!時間もあんまりないし、どっちにすればいいのよー!」 やけっぱちになった羽之が頭をガシガシしながら唸っている。この事が原因で相当追い込まれているらしい。 「あの"かっぷる"とは連絡は付かんのか?直接聞いたほうが手っ取り早いのではないかのぉ?」 「…うち電話線通ってる?」 「…ご尤もなのじゃ、けーたいとやらもないしの」 「「はあ…」」 山の中での商売も楽ではない。
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