第1章

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やれやれと溜め息をしながら屋敷の中に戻っていく羽之。時間こそあまり押していないはいないが、のんびりしている訳にもいかない。 今日は例のカップルの結婚式。あれから大急ぎで着物を何とか仕上げ、無事届けることが出来たのだ。 2人からの招待状が届き、結婚式に呼ばれることとなったが、招待されされることが滅多になく心なしか弥生も羽之も楽しみにしていたようだ。 「うむ、お待たせなのじゃ!いやはや、全く酷い目に遭うたわ」 「襟襟。肌蹴過ぎて色々と危ないわよ」 「うぬ?そうか?まあ、歩きながらでも直しておくかの」 「…山降りるまでには何とかしておきなさいよ?さ、行きましょ」 ~式場~ 「ほぅほぅ、中々に立派な神社じゃのう。どれ厚揚げはどこにあるかのぉ?」 「ここは稲荷大社か。ほら、式が始まるわよ」 ここは麓の町の隣町にあるとある神社である。何でもかなりの歴史があるらしく、由緒正しき神社として有名なんだとか。 「まあ、最近の人が和式の結婚式するってだけで珍しいのにこんな立派なところで式挙げるなんてね」 「そうじゃのぉ(モグモグ)、すまぬそこのお主(モグモグ)、この稲荷ずしを詰めてもらっていいかのぉ?(モグモグ)」 「…。(ドゴッ)」 「へぶっ!分かったのじゃ、分かったから拳骨だけは堪忍なのじゃ」 そうこうしている内に結婚式は始まっていた。式の開始を認識した2人はそれ以降騒がしくするようなことはしなかった。 周りの迷惑になる、ということが一番の理由だが、式が始まってすぐに新郎新婦が入場することになり、弥生も羽之も完成した着物を着た2人がどんな感じになっているのかが気になっていたからということもある。 そう思っている間にも式は進んでおり、ついに待ちに待った2人---新郎新婦が入場してきた。 ---瞬間、弥生と羽之は息を呑んだ。否、2人だけでなくその場にいた皆が同じく息を呑んだ。
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