二章

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彼女を描きたいと考えていても、まだ構図すら浮かんでこない。 手元にある画集を眺めても、どれもピンとくる事はなかった。 部屋の窓を開けて、生温かい風が流れ込むのを感じながら扇風機を回した。 それも問題だけれど、自分が描かれるのもどうしたものだろう。 格安で手に入れた部屋の隅の鏡で、上半身を脱いで姿を写した。 細い身体、脂肪とは無縁だけれど薄っぺらい貧弱な物にしか見えない。 髭も、体毛も殆どない…なんだか子供みたいな身体にしか見えなかった。
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