五章

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「そうかー、そうだよねぇ…」 「いいですよ、薫さん飲みたいんでしょ?プールでも生ビール見てたし」 「ばれてたか!」 わざと大袈裟にそんな事を言う彼女が、可愛いと思えてしまう。 「どうします?自転車置いて歩きますか?」 「そうねぇ…そうしよう」 学生が多いアパートに、見かけた事のある住人がすれ違いざまに羨ましそうに僕らをちょっと見た。 薫さんは気づいていないだろうけれど、僕は少し誇らしい気持ちになる。 下卑た思考なのかもしれないけれど、そう思ってしまうのだから仕方ないのだ。
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