五章

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「あー愉しいね。隆くんも愉しいでしょ?」 「はいはい、愉しいですよ。ふらふら歩かないでくださいね」 「ふらついてないもん。大人だから」 「意味がわかりません…」 「意地悪だねぇ。隆くんの癖に」 「なんですか、それ。酔っ払いの癖に」 「ねえ…隆くん」 「なんですか?」 「おねーさんは…気持ち悪くなってきた」 「マジですか…言わんこっちゃない」 ふらふらと薫さんが僕に抱きついてくる。小さな繁華街はとうに抜けてしまい、アパートは目の前だった。 「薫さん?もしかして吐きそうです?」 胸の前で薫さんの頭が上下する。勘弁してください…
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