五章

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酔ってる人はどうしてこうも重いのだろう。 色っぽさを感じる暇もなく…抱えるみたいに部屋のドアを開けた。 「薫さん?吐くならトイレで…」 脇に抱えた薫さんが、頭をぶんぶん横に降る。 まあ、例え相手が僕でもみっともないところは見せたくないだろう。 「ちょっと休めば大丈夫だから…」 母親以来、初の女性来訪者が酔っ払いの薫さんになるとは思わなかった。 仕方なく電気をつけて、狭い部屋へ薫さんを迎える。格安のアパートに迎えるのは気が引けた。 「ごめんね…隆くん」 「良いんですけど…狭いですよ」 正直、座って貰う場所もない。ベッドを背にして薫さんを座らせた。
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