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これが漫画なら、きっと頭に輪っかの乗った天使と三つ又の槍でも持った悪魔が僕の両肩で会話でも繰り広げる事だろう。
別に僕は聖人でもないし、かと言ってその場が良ければなどと云う快楽主義者でもない。
ただ、薫さんに嫌われる事が怖いだけの小心者なだけなのだ。
そもそも、そんな風に考えるのだから僕はやっぱり彼女が好きなのだろう。
けれども、僕は彼女の事をなに一つ知らないに等しいのだ。
大学の先輩で…本の装丁を仕事にしていて…偶々何かからひと夏の間だけ此処へ逃げて来た。
綺麗で優しくて…意地悪で無防備で…
そうして、今も僕の後ろでスヤスヤと眠りについている。
手を伸ばせば触れられる彼女は、近くに居るのにとても遠い気もするのだ。
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