六章

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ゴクリと飲み込んだ唾液の音が聞こえてしまわなかっただろうか… 薄闇の中で、彼女は微笑んでいた。 確かに欲望は噴き出しそうだったのに、その笑顔を見た僕は泣き出しそうに胸がきゅんと締め付けられた。 ベットの上で彼女が両手を少し広げてくれている。 僕は華奢な彼女に体重をかけないようにと、慎重に身体を重ねた。 微笑んでいる様に見えたのは、はにかんでいたのだとわかった。 「隆くん…恥ずかしいから、そんなに見ないの」 「薫さん…可愛い」 「……馬鹿ね、からかわないの」
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