八章

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なんだか肩の力が抜けて、いい感じの気分になる。 「ねえ、薫さん…もう一回言って。おかえりって」 クスクスと笑うけれど、今度は大袈裟に両手を広げて彼女が言う。 「おかえりなさい。隆くん」 僕の頬は緩んでしまう。駆け寄るのは格好悪いから、ゆっくり近づいてその腕の中へ向かう。 「ただいま…薫さん」 「はいはい、気が済んだ?」 多分シャワーを浴びたのだろう。いい匂いが… 「ごめん!僕、汗臭いよね」 両肩を軽く押して僕は言う。でも、彼女は逆に僕をぎゅって抱き寄せる。 「隆くんの汗だもん…」
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