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僕はバイトのシフトをぎりぎり少しにした。
公平の誘いも断り、出来る限りの時間を彼女と過ごしたかった。
「夏が終わらないと隆の顔も見れないなぁ」
公平は呆れてそんな事を言うけれど、美紀と順調なのと薫さんが帰る事を知っているのだから、それ以上何も言わなかった。
馬鹿みたいに楽しい時間は、恐ろしいほどの切なさの裏返しだった。
「後、一週間だね…」
僕も薫さんも出来るだけ口にしなかった言葉…
「そうですね…」
平静を装ったところで、泣けそうな気分だ。
こんな時間が続く筈はないのだけれども、あらためて限られた特別なのだと思い知らされる。
「寂しいね…」
「寂しすぎですね…」
「そうね」
「着いていこうかなぁ…」
「馬鹿ね。学校があるわよ」
「絵なら、何処でも描けるし…」
「二年したら…来れば良いわよ」
「二年半もある…」
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