八章

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僕はバイトのシフトをぎりぎり少しにした。 公平の誘いも断り、出来る限りの時間を彼女と過ごしたかった。 「夏が終わらないと隆の顔も見れないなぁ」 公平は呆れてそんな事を言うけれど、美紀と順調なのと薫さんが帰る事を知っているのだから、それ以上何も言わなかった。 馬鹿みたいに楽しい時間は、恐ろしいほどの切なさの裏返しだった。 「後、一週間だね…」 僕も薫さんも出来るだけ口にしなかった言葉… 「そうですね…」 平静を装ったところで、泣けそうな気分だ。 こんな時間が続く筈はないのだけれども、あらためて限られた特別なのだと思い知らされる。 「寂しいね…」 「寂しすぎですね…」 「そうね」 「着いていこうかなぁ…」 「馬鹿ね。学校があるわよ」 「絵なら、何処でも描けるし…」 「二年したら…来れば良いわよ」 「二年半もある…」
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