九章

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いつものように二人でベッドに潜り込み、今日の話をしたり繋がったり… 僕も薫さんも時間に限りがある事だけは口にしないで、朝まで過ごした。 微かに空が明るくなる頃、漸く睡魔に負けて眠りについた。 「おはよう。隆くん、もうお昼前だわ」 「おはようございます。起きてたんだ…」 すっかりと服を着こんで、僕を起こさない様に段ボールに服や荷物を詰めていた。 明日の昼には、薫さんが居なくなるのだとその姿で現実感が襲ってきた。 何も言えないで見つめる僕の横に薫さんがちょこんと座る。 胡坐をかいて泣きだしそうな僕の頭を抱えるみたいに、薫さんが僕を抱きしめる。 「もう…そんな顔しないの」 「ごめんなさい…」
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