九章

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あれから一週間が過ぎてしまった。薫さんからの連絡は無くて、僕はまるでもぬけの殻みたいだ。 それでも大学に行き、バイトも休まなかった。 美紀までこの一週間大学を休んでいる。公平も流石にいつもの明るさがない。 「どうしちゃったんだろうな…俺達」 昼間のキャンパスで、公平が芝生に寝転がって呟いた。 「そうだな…どうしちゃったんだろうな」 「あんなに愉しかったのに。何だか嘘みたいだよな」 「ああ…」 「どうするんだ?隆」 「公平はどうするの?」 「俺はとにかく美紀が大学に来るまで待つけどさ…お前は?」 「行ってみようと思ってる…東京へ」 背中から声が聞こえたのはその時だった…
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