20人が本棚に入れています
本棚に追加
「無駄だよ…隆先輩…」
「美紀!」「美紀ちゃん」
やつれた顔で、美紀が立っていた。真っ直ぐに公平ではなく僕を見据えていた。
僕は身体を起こして美紀を見た。
「無駄って…何の事?」
「あの女の事!」
聞いた事のない大きな声で美紀が叫んだ。周りでその様子を訝しげに振り返る奴もいた。
「美紀?あの女って…薫さんの事か?」
唖然とする僕に変わって公平が口を挟んだ。美紀はそれでも公平を見なかった。
「そうよ!あの女の事!」
「どう云う事だよ…」
美紀が薫さんの事を“あの女”と呼ぶ。怒りに満ちた声で、顔で。
最初のコメントを投稿しよう!