九章

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「美紀、とにかく落ち着いて話せよ!」 「私は隆先輩に言ってるの!公平は黙ってて!」 「教えてくれよ。美紀ちゃん」 今度は泣きだしそうな顔で僕に告げる。へたり込むみたいに芝生にしゃがみ込んだ。 「先輩…騙されてたんだよ。あのひと、結婚するんだって…決まってたんだって…遊ばれただけなんだよ…隆先輩」 「そんなの嘘だよ…第一、なんで美紀ちゃんが知ってるんだよ。そんな事!」 大きな声を出してしまった僕に、美紀が睨むみたいに覗き見る。 「聞いたもん!本人から…可哀想で言えないからって」 「そんな筈ないよ…」 「本当だよ?薫さん…電話も繋がらないでしょ」 「なあ、美紀。お前それがショックで大学休んでたのか?」 「そうよ…いけない?」
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