九章

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「そうね…あのお店は無くなっちゃうけどね。隆くんが変わらなければ大丈夫だわ」 「薫さんが変わらなければ大丈夫だよ…きっと」 「あー私の事信用してないね?」 「そんな事ないけど…僕は向うにいる薫さんの事なにも知らない」 「そうね…」 「だから不安なのかも」 正直、今の僕には彼女を繋ぎとめている自信はないのだ。 多分僕は情けない顔をしているだろう。 「何が起こるかなんて誰にも分からないわよね…こんな風に隆くんと出会うなんて思いもしなかったもの」 夏の空を見上げながら彼女が呟く。 「後悔してる?」 「どうして?後悔する必要があるのかな」 「わかんないけどさ」
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