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気がつけばアパートを飛び出して…
薫さんのマウンテンバイクに乗り込んでアトリエへ向かっていた。
殆ど変わらない外観に、真新しいネオンサインが目に入る。
店の前に止まった工務店の軽トラックと、中で作業する職人さんの姿が見えた。
もう、この場所は僕たちのアトリエじゃないのだと思い知らされた。
夏の思い出が…
あれ程に鮮やかに覚えていた薫さんの姿が…
まるで古い写真みたいに、セピア色に変色してゆく。
僕の胸から消え去らないで…色彩だけが褪せてゆく。
堪らない切なさが、僕の胸をぎゅうぎゅうと押しつぶし
まるでポンプで押されたみたいに涙が流れてきた。
馬鹿げてる
こんなの馬鹿げてる…
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