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もう自転車を漕ぐ気力も失せて、薫さんのマウンテンバイクを押して歩く。
あれ程忘れないと思った堤防から見える景色も、風も…何もかもが嫌になった。
たかがふられただけなのだ…そんな風に割り切れる様な夏じゃない。
「何だよ…これ…
何なんだよ!どうしてなんだよ!」
馬鹿みたいに大きな声で叫んだって、何も変わらないんだ。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃで…それでも、のそのそと部屋に辿り着く。
膝を抱えてベッドにもたれかかる。
この部屋も、あの店も、キャンパスも…
僕のテリトリーには、薫さんの欠片が散らばって何処にも居場所がないんだ。
酷いよ…薫さん
どうしたって、僕は貴女を憎めないよ。
どうして貴女は、僕の目の前で微笑んでいるのだろう。
僕がこの手でキャンバスに閉じ込めた貴女は、本当に嘘なの?
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