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「帰っちゃうんですね…薫さん」
僕の知らない間に美紀はメールで随分やり取りしていたみたいだ。
僕のバイトの時にも一緒に買い物したりして、色々僕の知らない会話もしてたらしい。
今にも泣き出しそう顔の美紀が、どうしてか羨ましい気もしてしまう。
「寂しいだろ、隆ちゃん」
公平はからかうみたいな口調で言うけれど、美紀に釣られてなのか寂しそうだった。
「そうだね…やっぱり寂しいよ」
「ねえ、また遊びに来るし…しんみりするのはやめようよ」
そんな事を言う薫さんだって、無理に笑っているのがわかってしまう。
「とりあえず乾杯しようよ」
「だなぁ…」
公平は夏の間に二十歳になった。堂々と生のジョッキを掲げている。
僕と美紀はコーラを持ち上げた。薫さんはもちろんビールのジョッキだ。
「ねえ、何に乾杯するの?」
美紀が僕に問いかける。
「そうだなぁ…僕たちの夏に」
「うわっ!…隆ちゃん格好つけすぎ」
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