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井上ドクターの家は、独り暮らしにはちょっと広く感じるセキュリティもばっちりなマンションだった。 ペットOKなんだろうけど、ここ分譲じゃないのか? まだ30そこそこに見えるが、、、医者って金持ちなんだな。 「こんばんわ戸山先生。 お忙しいのにわざわざお越しいただいてすみません。」 「いやいや、こちらこそ遅い時間なってしまって申し訳ない。 あ、奥さんは知ってるよね。 こっちは息子の英司。今高校3年だよ。」 「初めまして。英司です。 今日はよろしくお願いいたします。 コイツがうちのケンタです。」 キョロキョロしていた俺は急に紹介されたので すっと背筋を伸ばし、しっぽを前脚の方へ巻き込むように体に添わせキリリと美しく座った。 ワインレッドの首輪が真っ白い身体によく映えている。 去年のクリマスに英司が買ってくれた俺のお気に入りだ。 もちろん鈴なんて付いてないぞ! もう子供じゃないからな。
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