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泣きじゃくる私の顔を、大きな手で包んで上を向かせると、
真面目な顔して困ったようにしているカズくんと目があった
「ナニ、その顔」
カズくんだって、何その顔。
そう思っても私は言葉に出来ない
必死に、悟られないようにするのが精一杯で
車中の時間の流れが止まった、その瞬間
カズくんの身体が私の方に、傾いて
ゆっくりと、落ちて。
重なった
久しぶりの、カズくんの唇
好きで、溢れかえる
「――もう、いいから」
そう、カズくんが言った途端に動き出したタクシーと同時に
私の身体は、その大きな身体にすっぽりと抱きつくされた
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