恋と愛

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本当は、欲しい この人の、全部が。 本能に蓋をしていた その中身が、とめどなく一気に溢れ出してきて、止めようと必死にその感情を押さえ込んだ 好きすぎて この人の全てが欲しくて 触れてしまったその温もりで、忘れようとしていた気持ちが色鮮やかに蘇る 「……後で」 一度合わせてしまった唇は、これまでの我慢を全部埋め合わせようと深く絡まって、現実を見失いそうになったその瞬間 カズくんがストッパーをかけた 動き出した車は、あっというまに目的地に到着して、それを降りた私達は無言のままマンション前でたたずむ うつむいたまんまの私の頭を、優しく撫でるその手の感触が、痛い
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