恋と愛

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けど、私は何も言えなくて ただ、だまってその場に立ちつくす 「鍵」 突然、いつもの調子でカズくんがそう言った 私は返事が出来なくて ここで、応じてしまった先の事がまだ考えられなくて 「なぁ」 私が沈黙をしていたその瞬間 カズくんは、私の鞄に手をかけた つい、反動で鞄にかけた手に力を込めてそれを制止した 「いいから」 「……だ、ダメ」 顔を左右に小さく振って、私は後ずさる するとカズくんはそのまんま私ごと抱き締めた 「いーから、もう。騙されねーから」 苦しい もう、わからない なにが、正しいのか 私が迷ったその瞬間。カズくんは、しゅっ!っと取り上げたバッグから鍵を抜き取った 「やっ――待って」 「待たない」 「――イチさ……」 そう、言いかけたと同時に。 私の身体が宙に浮いた 「お、結構な重量」 「――ひっど――」 「俺が背負う、二人分の重さ 軽いわけねーだろ、って意味」
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