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「おぉ!うまそうだな!あ、あれもだ!」
俺達は今、ユウのクラスメート達が噂していた、今、人気の可愛い『ペット』がたくさんいる店に来ているのだが。
「んむぅ、どれもうまそうだぞトウヤ!」
…失敗だったか?
周りを見れば、家族連れや女性客が多く、もちろん言わずとも俺達は注目の的だ。
「あ!こいつならニーナ、食べたことあるぞ!」
「……」
ざわめく店内。
声を掛けようか迷う定員。
泣き出す子供。
「ん?どうしたトウヤ?」
俺はニーナの手を掴むと静かに、だが、一目散に駆け出した。
その後も、
「な、なにを!?」
「あははは!すごいなトウヤ見てみろ!中から人間が出てきたぞ!」
「こらやめろ!」
マスコットの着ぐるみから中の人を引きずり出したり、
「こら君!今すぐ降りてきなさい!」
「お前はこんな所で何してるんだ?」
「考え事の邪魔はしてやるな…転移」
造りがリアルな考え事をする巨人の像の肩によじ登ったり、
「お嬢ちゃん駄目だよそれを食べたら!」
「むぐっ?だが、さっきは食べていいと言っただろう?」
「すまない、全て買い取らせてくれ…」
屋台の試食を食い尽くしたニーナの魔の手がそのまま商品にまで及んだりと、とにかく手に負えない…
「あはは、今日は楽しいなトウヤ!」
「そうか、それは何よりだ…」
疲れた…
それから、甘い物が食べたいと言ったニーナを連れてさっきの屋台から離れた場所にあったソフトクリームの屋台に来た。
「何にする?」
「むっ…この赤い奴がいいぞ!」
「イチゴな?すまない、イチゴソフトを一つ。」
「はい!少々お待ち下さい!」
店員の元気良い返事を聞き流しニーナに目を向ける。
「イチゴ?イチゴ…ほほう!」
固形でないイチゴを見るのは初めてか?
そう言えば、ギルドに住むようになってニーナはほとんどギルドから出ていないよな。
一度、レウさんが連れ出したと聞いたがそれっきり…まぁ、その理由は今し方体験したが…
ずっと、ギルドから出ることも出来ずに…
「ニーナ「お待たせしました!」…」
「イチゴ~!」
何とも間の悪い事で…
お前は今、幸せか?
なんて、聞きにくいな。
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