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ニーナはイチゴソフトを嬉しそうに受け取る。
「ニーナ、落とさないよう座って食べな。」
「ん!わかったぞ!」
そう言うとニーナはここから見える場所にあるベンチに向け駆け出した。
「ふぅ。」
それを確認した俺は振り返り代金を支払う。
「あぐっ!」
「あ、アニキ!…何しやがるこのガキィ!」
………はぁ。
ほんの数秒でこれか。
振り返ってみるとそこには、尻餅を着くニーナとそれを見下ろす3人の男。
これだけで何があったのか察しはつく。
「クソガキが!これから大事な会議があるって言うのにアニキのスーツをこんなにしやがって!どう落とし前付ける気だ!?」
「あぅ、それは悪かったぞ。ニーナも前をよく見てなかった、許してくれ…」
3人の内スーツを着た男はアニキと呼ばれており年齢は20代半ばくらいか?
その男の閉じた左目には大きな傷跡があり、人相や服装から見て堅気の人間には見えない。
そして、キャンキャン吠える如何にも頭が足らなそうな男をめんどくさそうに見ている。
そして、キャンキャン吠える男の他にもう1人。
そっちの男は多分、右腕的な存在だと思うが、今はアニキと呼ばれる男のスーツに付着したアイスを拭っている。
「あぁ?悪かったで済むと思ってんのか?なめんじゃねぇぞ!」
さて、俺も行こうかな。
「ほら、立てるか?」
「あ、大丈夫だ。」
いまだ尻餅をつくニーナに手を貸し、立たせる。
「な、なんだてめぇは!?」
いきなり目の前に転移してきた俺に男が噛みついてくる。
その後ろにいた右腕はアニキの前に出ると身構え、アニキの方も平然とした様子だがいつでも動けるように僅かだが魔力を練っている。
それだけで右腕とアニキの実力はそれなりに高いと俺は推測した。
「てめぇ!さっきからなにガンくれてやがる!」
思考に耽っているとキャンキャン男が今にも掴みかかってきそうな勢いで突っかかってきた。
「あぁ、悪い。そんなつもりはなかったんだ。」
「あぁ?状況がいまいちわかってねぇようだな?」
キャンキャン男の実力は大したこと無いな…
後ろの2人は黙ったままだが俺の動きを常に監視している。
「アニキのスーツは特注品なんだぞ!これから会議だってあるっつぅのによぉ!」
ウザいなぁ。
だが、これ以上揉めるのも面倒だ…
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