約束を守ったらゴタゴタに巻き込まれた…

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「…っ!何のつもりですか?」 俺は黙って右手をアニキ向けた。 その瞬間、右腕の男は腰にさしていた双剣を抜き構える。 アニキは右腕の男を信頼してか動きを見せない。 だが、この男は違った。 「やんのか?あぁん!?」 キャンキャン男だ。 どこから出したのか先に棘のついた鎖を取り出し、俺に向かって振るってくる。 「空壁 クリア」 「「っ!」」 キャンキャン男の鎖は俺に当たる事無く空中で弾かれた。 それと同時にアニキの服に付着したアイスが跡形もなく消失する。 これは、単純に汚れを落とす魔法、クリアの効果だ。 この魔法は意外にも扱いが難しく使える者は少ない。 「何のつもりだてめぇ!」 「お止めなさい!」 キャンキャン男が鎖を振り上げた瞬間、右腕の男が言葉で制す。 「もういいだろ?」 俺は口を開いた。 汚れは落ちた。 謝罪も済んだ。 これ以上関わるな。 そんな意味を込めて。 「いえ、あなた方にはいくつかお聞きしたいことがあります。」 だが、右腕の男は意味が伝わっているようだが解放する気はないようだ。 面倒臭いな。 「答える義理はない。」 今度はわかりやすく不機嫌そうに俺は答える。 そんな俺の後ろでは肩を落としながら頭を失ったアイスのコーンを眺めるニーナが。 これ以上、面倒事を起こす前に移動したいんだがな。 「そう言わずに、話だけでも聞いていただけませんか?」 しつこいなこいつも。 「断る。俺には「がぁー!うだうだと面倒だなぁ!こんな奴さっさとふん縛って口を割らせりゃいいじゃねぇーか!」…」 我慢の限界とでも言うようにキャンキャン男が俺の言葉を遮った。 そんなキャンキャン男を見て右腕の男はため息をつきながら頭を押さえる。 ため息をつきたいのはこっちの方だ。
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